コラム / 2026年11月4日
月次の経営会議の進め方|30分で数字から「次の一手」を決める型
毎月、試算表は届いている。でも、ざっと眺めて「今月もなんとか」で終わってしまう。月次の会議が続かない、続いても何も変わらないのは、数字を「見る」だけで「決める」ところまで行かないからです。この記事では、30分で終わり、決めたことが残る会議の型をまとめます。
- 30分が目安。準備を前に、深掘りを外に出せば回る。始めて数回と大きな決断がある月は60分
- 見る数字は4つ(売上・粗利・固定費・手元の現金)。先月比より「計画とのずれ」を見る
- 気になる点は3つまで。全部を直そうとしない
- 決めたことは「何を・誰が・いつまでに・次に何で確かめるか」で書く
- 決めたことと、そのとき根拠にした数字を残し、あとで答え合わせをする
30分の進め方
出るのは社長と、数字が分かる人(経理の担当者や幹部)。毎月同じ日・同じ順番で進めます。
- 1答え合わせ5分
先月決めたことを、やったか・効いたか
- 24つの数字10分
先月比と、計画とのずれを見る
- 3気になる点10分
3つまでに絞り、どうするか決める
- 4決めたことを書く5分
読み上げて、全員で確かめる
最初に先月の答え合わせをするのがコツです。決めたことが毎月確かめられると分かっていれば、決めたことが実行されやすくなります。
30分で回すための条件と、長くしてよい月
30分で終わるのは、数字の集計と気になる点の候補出しを会議の前に済ませ、原因の深掘りを会議の外に出しているときです。そのうえで、次のときは60分ほど取ってかまいません。
- 始めて2〜3回目まで:数字の見方をそろえる、計画とその前提を確かめる、社長の考えを聞く時間が要ります
- 大きな決断がある月:投資・値上げ・大きな取引先のことなど。ただし、その場で決めきれないときは「何を調べれば決められるか」を決めて、別の場で詰めます
逆に、毎月60分かかるようになったら、準備が足りていないか、会議の中で調べものをしている合図です。
会議の前にそろえておくもの
- 試算表:月が終わってから、できれば10日以内に
- 1枚のまとめ:4つの数字、先月比、計画とのずれ、気になる点の候補。会議の前日までに配っておく
- 先月決めたことの一覧:答え合わせに使う
1枚のまとめの作り方は、売上・粗利・入金を毎月見える化する方法で紹介しています。会議の場で数字を集め始めると、30分では終わりません。
4つの数字は「計画とのずれ」で見る
次の表は、従業員20人・年商約3億円の架空の会社の10月の数字です。
| (万円) | 10月 | 先月比 | 計画 | ずれ |
|---|---|---|---|---|
| 売上 | 2,610 | +3% | 2,580 | +30 |
| 粗利 | 690 | +1% | 735 | −45 |
| (粗利率) | 26.4% | −0.6pt | 28.5% | −2.1pt |
| 固定費 | 665 | +1% | 675 | −10 |
| 手元の現金 | 4,300 | −1% | 4,400 | −100 |
会社・数字はすべて架空の例です。計画は、3年の計画の1年目を月に割ったものです。
先月比だけを見ると、売上も粗利も増えていて「よい月」に見えます。でも計画と比べると、売上は計画を上回っているのに、粗利は45万円足りません。売上は伸びているのに、もうけが計画どおりに増えていない。これが今月いちばん大事な点です。
計画がない会社は、まず「前年の同じ月」と比べるところから始めてかまいません。計画の作り方は、中期経営計画の作り方でまとめています。
気になる点は、3つまでに絞る
数字を見ると、気になることはいくつも出てきます。でも、毎月10個の課題を挙げても、どれも進みません。お金への影響が大きい順に、3つまでに絞ります。
例:10月の気になる点
- 粗利率が6か月続けて下がっている(28.9% → 26.4%)
- 売上の伸びの多くが、粗利率の低いa社向け
- 12月は賞与の支払いで、手元の現金が約600万円減る見込み
架空の例です。1と2は同じ原因の可能性があるので、まとめて扱います。
絞るときの目安は、「このまま3か月放っておくと、いくら損をするか」です。たとえば粗利率が計画より2ポイント低いままだと、この会社では月に約50万円、年に約600万円のもうけが減ります。金額にすると、どれから手を付けるべきかがはっきりします。
決めたことは、4つの項目で書く
「a社の件、考えておく」では、翌月の答え合わせができません。決めたことは、次の4つで書きます。
| 何を | 誰が | いつまでに | 次の会議で何を見るか |
|---|---|---|---|
| a社向けの商品ごとの粗利率を出す | 経理の担当者 | 11月15日 | a社向けで粗利率の低い商品の一覧 |
| 11月の入金予定を取引先ごとに確かめる | 社長 | 11月10日 | 12月末の手元の現金の見込み |
架空の例です。
「次に何を見るか」まで決めておくと、翌月の会議の最初の5分(答え合わせ)がそのまま回ります。
会議でやらないこと
- その場で原因を調べ尽くす:調べることを決めるまでにして、調べるのは会議の外で
- 毎月、見る数字を増やす:増やすほど続かなくなる。足したら、1つ減らす
- 資料を作り込む:きれいな資料より、毎月同じ形で比べられることが大事
- 誰かを責める:数字が悪い月ほど、原因と次の手の話に集中する
決めたことと根拠を残し、あとで答え合わせをする
月次の会議でいちばん財産になるのは、「何を決めたか」と「そのとき何の数字を根拠にしたか」の記録です。3か月後、半年後に読み返すと、その判断が合っていたかが分かります。
- 値上げを決めたなら、3か月後に客数と粗利がどう動いたか
- a社との取引条件を見直したなら、半年後にa社向けの粗利率がどうなったか
答え合わせを重ねると、社長の判断の当たり外れの癖が見えてきます。それが次の判断の根拠になります。
月次は、計画の前提を確かめる場でもある
中期の計画は、「主な取引先からの注文が今の粗利率で続く」といった前提の上に立っています。毎月の数字は、その前提がまだ合っているかを確かめる一番早い手がかりです。例の会社のように粗利率が6か月続けて下がっているなら、それは「打ち手が足りない」だけでなく、「前提が変わった」合図かもしれません。そのときは、目標の数字にこだわらず、計画そのものを見直します。
※税金の計算や申告など、税務の判断は税理士にご相談ください。ここでいう数字は、経営の判断のために社内で見るものです。
まとめ
月次の経営会議は、準備さえ済んでいれば30分で十分です(始めて数回と、大きな決断がある月は60分)。先月決めたことの答え合わせから始め、4つの数字を計画とのずれで見て、気になる点を3つまでに絞り、「何を・誰が・いつまでに・次に何で確かめるか」を決める。決めたことと根拠を残しておけば、毎月の会議が、社長の判断を少しずつ確かにしていく場になります。
毎月の会議を一緒に回してほしいときは
ケルダリアの「月次の経営会議」では、毎月の試算表から4つの数字と気になる点(最大3つ)を1枚にまとめ、社長と30分話して、どうするかを決めます(初回は60〜90分)。サンプルはこちら。