コラム / 2026年11月1日
資金繰り表の作り方|黒字なのにお金が足りなくなる理由と、6か月先の見方
決算は黒字なのに、なぜか手元のお金がいつも足りない。利益とお金の動きは、同じではないからです。この記事では、黒字でもお金が足りなくなる理由と、社長が自分で作れる資金繰り表の作り方をまとめます。
- 利益とお金は別物。入金と支払いの「時期のずれ」でお金は足りなくなる
- 資金繰り表は「月初の現金 + 入金 − 支払い = 月末の現金」を月ごとに並べるだけ
- 6か月先まで見れば、足りなくなる前に手を打てる
黒字なのに、お金が足りなくなる4つの理由
入金が支払いより遅い
売上の入金は2か月後なのに、仕入れの支払いは翌月
在庫にお金が寝ている
仕入れて支払ったのに、まだ売れていない分
借入の返済は経費にならない
利益から返すので、利益が少ないと手元のお金が減っていく
季節の大きな支払い
賞与・納税・設備の支払いが、特定の月に重なる
一番多い「時期のずれ」の例
- 11月:仕入れて売る
売上と利益が立つ。でも、お金はまだ動かない
- 22月:仕入れ代を払う
お金が出ていく。売上の入金はまだ
- 33月:売上が入金
やっとお金が入る
2月の間は、利益は出ているのに、お金は出ていくだけです。売上が伸びている会社ほど、このずれが大きくなります。
利益が出ていても、これらが重なると、ある月だけお金が足りなくなります。資金繰り表は、その「ある月」を先に見つけるための表です。
資金繰り表の形
基本の形は、とてもシンプルです。
次の表は、従業員20人・年商約3億円の架空の会社の例です。
| (万円) | 11月 | 12月 | 1月 | 2月 | 3月 | 4月 |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 月初の現金 | 4,300 | 4,270 | 3,690 | 3,540 | 3,390 | 3,440 |
| 入金 | 2,550 | 2,600 | 2,400 | 2,350 | 2,700 | 2,500 |
| 支払い | 2,480 | 3,080 | 2,450 | 2,400 | 2,550 | 2,900 |
| 借入の返済 | 100 | 100 | 100 | 100 | 100 | 100 |
| 月末の現金 | 4,270 | 3,690 | 3,540 | 3,390 | 3,440 | 2,940 |
会社・数字はすべて架空の例です。12月は賞与、4月は納税と設備の支払いで、支払いが増えています。
月末の現金の動き
単位:万円。架空の例です。
毎月少しずつ減り、4月に目安の近くまで下がることが、半年前の11月の時点で分かります。
作り方の5つの手順
- 1実績を入れる
通帳から過去6か月
- 2入金の予定
取引先の支払い条件から
- 3支払いの予定
毎月の分+季節の分
- 4月末の現金
式で計算
- 5目安と比べる
下回る月に手を打つ
1. 通帳から、過去6か月の実績を入れる
まずは実績から。通帳や入出金の明細を見て、月ごとの入金・支払い・返済を入れます。最初は細かく分けず、「入金」「支払い」「借入の返済」の3つで十分です。
2. この先の入金の予定を入れる
売上がいつ入金されるかは、取引先との条件(月末締め翌月末払い、など)で決まります。今月の売上が、何月に入ってくるかを並べます。
3. この先の支払いの予定を入れる
給料・家賃・返済など、毎月決まっている支払いから入れます。次に、賞与・納税・設備・保険など、特定の月にだけある大きな支払いを書き足します。
4. 月末の現金を計算する
「月初の現金 + 入金 − 支払い − 返済」で、月末の現金を出します。Excelなら、月末の現金のセルを翌月の月初に参照させるだけです。
5. 安心できる目安と比べる
月末の現金が、どこまで減ったら手を打つかを決めておきます。目安は会社によって違いますが、たとえば「月の支払いの1か月分」を下回りそうな月があれば、早めに手を打ちます。
足りなくなりそうなときの打ち手
- 入金を早める:請求を早く出す、取引先に支払いの時期を相談する
- 支払いの時期を相談する:大きな支払いを分けられないか、仕入れ先に相談する
- 在庫を減らす:売れ残りを減らし、仕入れを売れる分に近づける
- 投資の時期をずらす:設備などの支払いを、余裕のある月に移す
- 借入は早めに相談する:足りなくなってからではなく、数か月前に金融機関に相談するほうが話を進めやすくなります
上の例で、4月末の現金を戻す打ち手
架空の例です。入金を早める効果は、取引先の入金を60日後から45日後にしてもらった場合の試算です。
※すでに支払いが難しい状態や、返済の条件の変更が必要な場合は、顧問の税理士さんや、公的な相談窓口(よろず支援拠点、中小企業活性化協議会など)に早めにご相談ください。
続けるコツ:毎月、実績で上書きする
資金繰り表は、一度作って終わりではありません。毎月、終わった月を実績で上書きし、予定を1か月先に延ばします。こうすると、いつでも6か月先までのお金の動きが見えるようになります。売上・粗利と一緒に毎月見る方法は、売上・粗利・入金を毎月見える化する方法で紹介しています。
まとめ
黒字でもお金が足りなくなるのは、入金と支払いの時期がずれるからです。「月初の現金 + 入金 − 支払い − 返済 = 月末の現金」を月ごとに並べ、6か月先まで見る。それだけで、足りなくなる前に手を打てるようになります。
作るのを手伝ってほしいときは
ケルダリアの「資金繰り・事業計画の作成」では、12か月先までの資金繰り表と、足りなくなりそうな月の打ち手の試算、社長が毎月更新できるひな形をお渡しします。サンプルはこちら。